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【管理職の悩み解決シリーズ #4】経営者と現場の板挟みで疲弊した私が見つけた、誰も傷つけずに前に進む方法

はじめに

「お前は、社長の味方なのか?それとも社員の味方なのか?」

管理職として20年以上働く中で、何度この問いに苦しめられたことか。

  • 転職先での社長と生え抜き社員の対立
  • 起業時代の社長と社員の価値観の違い
  • 現場の声と経営層の方針のギャップ

管理職、特にナンバー2や中間管理職の最大の悩み。

それは、上と下の板挟みです。

上司の期待に応えようとすれば、部下から「経営側の人間だ」と言われる。 部下を守ろうとすれば、上司から「甘い」と言われる。

どちらの味方につくこともできず、孤独に耐える日々。

この記事では、私が20年以上かけて学んだ「板挟みを乗り越える技術」をお伝えします。

板挟みが起こる3つの典型的なパターン

まず、板挟みがなぜ起こるのか。その構造を理解することが重要です。

パターン1:ビジョンと現実のギャップ

経営層:「もっと成果を出せ。スピードを上げろ」 現場:「人が足りない。これ以上は無理です」

経営層は理想を語り、現場は現実を訴える。 その間で、管理職は引き裂かれます。

パターン2:変革と安定の対立

経営層:「新しいやり方を導入しよう」 現場:「今のやり方で問題ない。なぜ変える必要が?」

変化を求めるトップと、現状維持を望む現場。 変革の旗振り役を任された管理職は、両者の間で板挟みになります。

パターン3:短期と長期の矛盾

経営層:「今期の数字が厳しい。何とかしろ」 現場:「無理な目標で社員が疲弊しています」

短期的な数字を求める経営と、長期的な人材育成を考える現場。 この矛盾を調整するのが、管理職の役割です。

私が犯した最大の失敗:「どちらかの味方になろうとした」

起業時代の社長との対立

38歳から44歳まで、起業のナンバー2として働いていた時のことです。

組織が20名まで拡大した頃、深刻な問題が発生しました。

社長が社員に、休みの日や夜中に直接指示を出すことが常態化

最初は「緊急時だから仕方ない」と思っていました。 でも、それが当たり前になっていきました。

「社員を守らなければ」という使命感

3人目の社員が辞める時、私は決意しました。

「もう黙っていられない。社員を守るのが、ナンバー2の役割だ」

社長に何度も直談判しました。

「このままでは社員が続けられません」 「休日や夜中の連絡は、緊急時以外は控えてください」 「プライベートの時間を尊重する必要があります」

対立の激化

社長は言いました。

「甘いことを言うな。スタートアップはそういうものだ」 「俺だって休んでない。社員も同じようにやるべきだ」 「お前は、社員の味方なのか?会社の味方なのか?」

私は反論しました。

「社員が疲弊して辞めていくことが、会社のためになるんですか?」

完全に対立しました。

そして退職へ

6年間、ゼロから一緒に作り上げた会社。

でも、私は「社員の味方」であることを選びました。

そして、退職しました。

今だから分かる、この対応の問題点

当時は「正しいことをした」と思っていました。

でも、今振り返ると、私のアプローチは間違っていました

なぜなら:

  1. 社長vs私という対立構造を作ってしまった
  2. 「どちらかの味方」という二者択一で考えていた
  3. 社長の立場や想いを理解しようとしていなかった
  4. 問題解決ではなく、正論をぶつけることに終始していた

板挟みの状況で、どちらかの味方になろうとすることが、最大の失敗だったのです。

板挟みを乗り越える5つの技術

その後のキャリアで、私は「板挟みとの向き合い方」を学び直しました。

現在は、システム開発部全体の統括として、再び板挟みの最前線にいます。

でも、もう疲弊していません。

なぜなら、板挟みを乗り越える技術を身につけたからです。

技術1:「通訳者」になる

板挟みの管理職に必要なのは、どちらかの味方になることではなく、両者をつなぐ通訳者になることです。

経営層の言葉を現場に通訳する

経営層:「もっと成果を出せ」 ↓(通訳) 現場へ:「会社は今、こういう状況で、こういう理由で成果が必要なんだ。みんなの力を貸してほしい」

現場の言葉を経営層に通訳する

現場:「人が足りない」 ↓(通訳) 経営層へ:「現場の状況を数字で整理しました。現在の人員では、品質を保ちながらこれ以上の成果を出すことは困難です。3つの選択肢を提案します」

通訳者は、どちらの味方でもなく、両者の橋渡し役です。

技術2:「対立構造」を「共通の敵」に変える

起業時代の私は、社長vs私という対立構造を作ってしまいました。

でも、本当の構造はこうです。

  • 社長も私も、「会社を成長させたい」という目標は同じ
  • 社長も私も、「社員に幸せになってほしい」という想いは同じ
  • 対立しているのは「方法論」だけ

共通の敵を設定する

「僕たちの共通の敵は、競合他社です」 「社員が疲弊せずに、会社が成長する方法を一緒に考えませんか?」

この視点の転換で、対立から協力へと変わります。

技術3:「両方の立場」で考える訓練

板挟みの苦しみは、「自分がどちらの立場なのか分からない」ことから生まれます。

でも、発想を変えましょう。

管理職は、両方の立場に立てる唯一の存在

経営層の視点:

  • 会社全体の数字を見る責任
  • 株主や取引先への説明責任
  • 将来への投資判断

現場の視点:

  • 日々の業務の大変さ
  • リソースの限界
  • チームメンバーの状態

両方を理解できるからこそ、最適解を見つけられる。

これは、苦しみではなく、強みなのです。

技術4:「感情」と「事実」を分ける

起業時代の私の失敗は、感情的に反応してしまったことです。

社長の言葉にカッとなり、感情をぶつけてしまった。

今なら、こうします。

まず、相手の感情を受け止める

社長:「甘いことを言うな!」 私:「社長が強い危機感を持っていることは理解しました」

次に、事実を整理する

「現在の状況を整理させてください」

  • 過去3ヶ月で3名が退職
  • 退職理由は全員「労働時間」
  • 残っている社員の離職意向調査の結果
  • 採用コストと育成コスト

最後に、選択肢を提示する

「3つの選択肢があります」

  1. 現状維持(リスク:さらなる離職の可能性)
  2. 働き方の見直し(リスク:短期的な生産性低下)
  3. 人員増強(リスク:コスト増)

感情ではなく、事実とデータで語る。 これが、建設的な対話を生みます。

技術5:「逃げ場」を持つ

どんなに技術を磨いても、板挟みは辛いものです。

だから、精神的な逃げ場を持つことが重要です。

私の場合:

  1. 信頼できる相談相手
    • 起業時代のフリーランスアドバイザー2人
    • 他社の同じような立場の友人
    • 社外のメンター
  2. 家族との時間
    • 仕事の愚痴は言わない
    • ただ、一緒にいる時間を大切にする
  3. 趣味の時間
    • 完全に仕事から離れる時間
    • 没頭できる何か

逃げ場がないと、心が壊れます。

逃げることは、恥ではなく、戦略です。

実践例:現在のポジションでの板挟み解消法

46歳で現在の会社に入社し、システム開発部全体の統括を任されました。

ここでも、当然板挟みに遭遇します。

ケース1:無理な納期要求

経営層からの要求 「このシステム、来月までに完成させてくれ。大口顧客への約束だ」

現場の反応 「無理です。最低3ヶ月は必要です」

以前の私なら 経営層に「それは無理です」と言うか、 現場に「何とかしてくれ」と押し付けるか。

今の私の対応

  1. 両方の話を聞く
    • 経営層:なぜ来月なのか、背景を理解する
    • 現場:なぜ3ヶ月必要なのか、根拠を確認する
  2. 事実を整理する
    • 必要な機能リスト
    • 各機能の開発期間
    • 現在の開発リソース
    • リスク要因
  3. 選択肢を作る
    • 案A:最小機能で来月リリース、その後段階的に機能追加
    • 案B:外部リソースを投入して2ヶ月で完成
    • 案C:顧客に説明して納期を3ヶ月に延期
  4. 両者を同じテーブルにつける 「経営層と現場で、一緒に最適解を考えませんか?」

結果:案Aが採用され、顧客も納得。現場も納得。

ケース2:新技術導入への抵抗

経営層の方針 「新しい開発手法を導入しよう。生産性が上がる」

現場の反応 「今のやり方で問題ない。新しいことを覚える時間もない」

今の私の対応

  1. 現場の不安を理解する
    • 本当は「変化が怖い」
    • 本当は「失敗したら評価が下がる」
    • 本当は「今でも忙しいのに、学ぶ時間がない」
  2. 経営層の意図を確認する
    • なぜ今なのか
    • どんな成果を期待しているのか
    • 失敗のリスクをどう考えているのか
  3. 小さく始める提案 「まず1つのプロジェクトで試験導入しませんか?」 「失敗しても学びと捉える文化を作りましょう」 「学習時間を業務時間内で確保します」

結果:小規模で成功し、徐々に全体に展開。

板挟みで疲弊しないための心構え

1. 完璧を求めない

両方を完全に満足させることは、不可能です。

60点の解決でも、前に進めればOK

完璧主義が、あなたを追い詰めます。

2. 「時間」を味方につける

今日解決できない問題も、時間が解決することがあります。

  • 経営層の考えが変わる
  • 現場の状況が変わる
  • 外部環境が変わる

焦らず、長期戦で考える

3. 「自分の限界」を知る

どうしても解決できない対立があります。

起業時代の社長との対立は、私には解決できませんでした。

それは、私の能力不足ではなく、価値観の根本的な違いでした。

自分にできることと、できないことを見極める。

できないことは、潔く手放す。

退職も、一つの選択肢です。

4. 「味方」は必ずいる

孤独に感じても、理解者は必ずいます。

  • 同じ立場の他部署の管理職
  • 過去に同じ経験をした先輩
  • 社外の友人

一人で抱え込まない

これが、最も重要です。

起業時代の反省:今ならこうする

起業時代の社長との対立。

今の知識があれば、違う結果になったかもしれません。

当時の私がすべきだったこと

1. 社長の立場をもっと理解する

社長は、会社の生存責任を負っていました。 資金繰り、取引先との関係、将来への不安。

私は、それを理解しようとしていませんでした。

2. データで示す

「社員が疲弊しています」ではなく:

  • 労働時間の実データ
  • 離職率と採用コスト
  • 生産性の推移
  • 業界の平均との比較

感情ではなく、事実で語るべきでした。

3. 代替案を用意する

「休日の指示をやめてください」ではなく:

  • 緊急時の対応フローを整備
  • 営業日の対応力を上げる仕組み
  • チームで対応できる体制作り

批判ではなく、提案をすべきでした。

4. 段階的なアプローチ

いきなり「全面禁止」ではなく:

  • まず緊急時の基準を明確化
  • 次に連絡時間のルール化
  • 最後に文化として定着

小さく始めるべきでした。

それでも、退職は正しかった

仮に上記をすべてやったとしても、社長との価値観の違いは埋まらなかったかもしれません。

その場合、退職は正しい選択です。

自分を守ること。 これも、管理職に必要な判断です。

板挟みは「悩み」ではなく「役割」

20年以上の管理職経験で分かったこと。

板挟みは、なくならない

むしろ、管理職の本質的な役割です。

  • 上と下をつなぐ
  • 理想と現実を調整する
  • 短期と長期のバランスを取る

これが、管理職の存在意義です。

板挟みとの向き合い方を変える

「なんで自分だけ苦しまなきゃいけないんだ」

ではなく、

「この調整ができるのは、自分しかいない」

この視点の転換が、すべてを変えます。

まとめ:誰も傷つけずに前に進む

板挟みで疲弊していた私が、今は違う。

なぜなら:

  1. 通訳者としての役割を理解した
  2. 対立構造を作らないスキルを身につけた
  3. 両方の立場で考えられるようになった
  4. 感情と事実を分けられるようになった
  5. 逃げ場を持つことの重要性を知った

完璧ではありません。 今だに試行錯誤しながら取り組んでいます。

でも、以前のように疲弊することはなくなりました。

板挟みは、苦しみではなく、自分だけができる貢献

この考え方が、あなたの管理職人生を変えるかもしれません。

次回予告

次回は、「フリーランスという選択肢」をテーマに、管理職を辞めてフリーランスになる決断、精神的な解放と新しい働き方、そして再び組織に戻る判断基準について、私の実体験をお伝えします。

44歳で起業を退職し、フリーランスとして活動した1年間。そして46歳で再び組織に戻った理由。キャリアの転換期に何を考え、どう判断したのか、具体的にシェアする予定です。


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